20151022_135313

「予想外な癌宣告」
J-ARM(以下J):今日は和歌山県橋本市やぐら動物病院の院長である矢倉先生と飼い主様の大島様にお話をお伺いして
おります。
先生は、和歌山県橋本市で24年前に開業されて、弊社で細胞治療を導入して頂いて5年ほどになります。
和歌山県で初めて細胞治療を導入された病院様でもいらっしゃいます。今回インタビューにご協力いただく大島様は、
ミミーちゃんをご家族に迎え入れた2ヶ月齢の時より、約13年やぐら動物病院様に通われている飼い主様です。
大島様のご家族であるミミーちゃんについてお聞かせいただきたいと思います。

大島様(以下大島)ミミーは13歳になるミニチュアダックスの女の子です。今までに、体調が悪くなりぐったりする
姿を見たことのないくらいの元気な子です。病院へは、体の痒みを訴えることが多く痒みが出るたびに通っていました。
今考えると、その頃は食事でお肉をあげることも多く、それが原因だったのかもしれません。。。痒み以外で病院へかか
ることはほとんどありませんでした。ミミーの10歳の時にお腹に黒い出来物ができているのに気付き、初めは何か変な物
を飲み込んだのかと心配になり、慌てて病院に行きました。先生に見ていただいたら、出来物は乳腺腫瘍と聞き、ビック
リしました。手術で腫瘍を取り、検査結果が悪性と聞いて、本当にビックリして、この子のためにしてあげられることは
、何でもしてあげたいと思いましたが、薬の副作用などでこの子の苦しむ姿は見たくないとも思いました。そこで、先生
が免疫療法を提案してくださり、副作用が比較的少ない治療とのことなので、ミミーのために免疫療法を行うことを決め
ました。今月で36回目を行い、先生がストップしても大丈夫の可能性が高いと言ってくださいますが、不安解消のために
も、ミミーが元気で少しでも長く一緒に過ごしていくために、今後も治療を続けていきたいと思っています。今とっても
ミミーが元気なので、先生と免疫療法に本当に感謝しています。

J:ありがとうございます。次に先生にお尋ねします。
J:今回、大島様に免疫療法を用いた治療をご提示されたいきさつはどのようなものだったのでしょうか? 

矢倉先生(以下矢倉)初めにミミーちゃんのしこりを見た際に乳腺腫瘍だと分かったため、治療の進め方として、1番
に外科切除を行い病理検査で確定診断をすることを提案し、外科手術を行いました。病理検査の結果が悪性だったため、
大島様には①抗がん剤②免疫療法の2つを提案しました。大島様もそうでしたが飼い主様自身抗がん剤に良いイメージを持
たれている方が少なく、自分の経験上もミミーちゃんのリンパ管転移であれば、抗がん剤の使用あるいは、副作用の少な
い免疫療法も可能と考え今後の治療としては、どちらか選択していただくことになると伝えました。1週間もしないうちに
、大島様が病院に来てくださり、免疫療法を行うと即決してくださったため、すぐさま採血を行い免疫療法を開始しました。 


J:即決されたとのことですが、免疫療法に不安はなかったのですか? 大島不安はありませんでした。先生の説明に納得できましたし、してあげる治療はミミーにとって負担の 少ないものが いいと考えていたため、即決断できました。 J:そうだったんですね。ありがとうございます。 ミミーちゃんは今まで再発などはしたことはなかったのでしょうか? 大島実は1回目の切除の後の1年後に再発をしたんです。 J:そうだったんですね。その再発はどういったものだったのでしょうか? 矢倉左側の乳腺と右側で残っていた乳腺にしこりができていました。なのでその時に乳腺を全摘して、 そちらも病理に 出したところ左側のものは良性で右側の残り部分はリンパ管転移があるとのことでした。そのような結果だったので、この まま免疫療法を続けていく治療となりました。ミミーちゃんと同時期に乳腺腫瘍になり、同じリンパ管転移を起していた子 がいたんですが、その子は1クールで免疫治療を終了しましたが、1年ほどで亡くなったので、長期の継続を行うことでミ ミーちゃんにはQOLの高い治療ができていると感じています。 「習慣になっている細胞治療」 J:ミミーちゃんは他の治療は特にされていないのですよね? 大島そうです。月1のリンパ球療法はもう習慣になっていますので病院に行く、となったら採血されるんだ、と思ってい ると思います。笑。 矢倉ちょっとは採血で嫌がりますけどお母さん(大島さん)いなくなったら助けてくれる人が いなくなるので仕方がないな 、という感じで大人しくしてくれます。笑。 雑菌が入るリスクを避けたいので採血時は鎮静かけさせてもらっています。 J:おちゃめな一面が垣間見えるようです。点滴中の様子はいかがですか? 矢倉点滴の時は採血するときみたいに機嫌悪くはないですね。点滴するときは動くので基本的にその間飼い主様に抱いても らっています。今まで点滴中に何かあったことはないのですが、一緒に治療してもらうという感じで何かあった時に飼い主様 にお声掛けしてもらい、こちらもすぐ見れる体制にしているんです。 大島最初点滴した時に腕の中でこくんと眠っていくんですけど、寝ているのを見ているうちに、いつかは別れなければいけ ない日が来るんだな、と思うんです。昔飼っていた犬が亡くなった時は本当に悲しくて、もう飼うまいと思っていたのですが 、子供が欲しがったこともあって、13年前ミミーと出会いました。生後2ヶ月の時からずっと一緒で、別れることは想像でき ないですけど。飼い主としては一緒に治療している、という感じでいられるのが嬉しいですね。 J:先生は細胞の管理で気を付けられていることはありますか? 矢倉 ミミーちゃんは元々少しリンパ球の数が少ないのでいい数になるまで他の子より 2日くらい遅れるイメージです。増え 方によって日にちを変えています。いつも2週間後に点滴しましょうということで予約を取らせて頂いて、週明けてから増え具 合を確認し、後日日程の確認の連絡をします。大島さんは午後にいらっしゃるので診察の1時間ほど前に細胞を作り始め、出来 るだけ新鮮な細胞を投与できるようにしています。朝に来られる時は、朝早く来て作ります。なるべく新鮮な細胞を投与できる ように心がけています。 名称未設定 「できるだけ長期的に続けてほしい」 J:先生が飼い主様にこの治療のことお話するために心がけていらっしゃることはありますか? 矢倉なるべく長期で治療を考えて頂くことです。 普通だと規定通り6回なのですが、その後再発しないかなと少々不安になり ますね。というのも過去に、ミミ―ちゃんと同じダックスフントで同じくらいの時期に同じリンパ管転移で病理学的にも似たよ うな腫瘍が できた子がいるのですが、その子は6回投与された後、一端この治療を見送られました。1年後に肺転移で亡くなっ てしまったのですが、ミミーちゃんが2回も手術を行ったにかかわらず元気で長生きしているのを見ると、続けることは意味が あるのかなと感じますね。ですのでできれば長期的に向き合ってほしいとは飼い主様にはお伝えします。1クール終わった時に 考えてもらえたらいいと思いますが、6回行って辞めてしまうのはもったいないのかなと思いますね。その後もなるべく月1く らいでも継続できたらと思いますね。 J:実際人、の学会でもリンパ球を6回以上投与された患者さんとそれ以下の患者さんでは 延命に差がある傾向があった、という 報告を耳にしたことがあります。 矢倉抗がん剤で延命したというデータも沢山ありますけど、問題はそこの状態ですよね。 元気で生きているか寝たままで 生きているのか。そういうことを考えるとリンパ球療法を受けている子は普通の生活もしているし、吐いてご飯を食べられな くなったりという副作用もまずないので、そういうことは一生懸命に説明するようにしています。リンパ腫の抗がん剤治療な ど、病気によっては確立した方法があったらそれを勧めます。そうでない場合、抗がん剤を中途半端にすると効かないことも ありますので、気を付けますね。我々の立場としては過去の治療の経験であったり、データをご説明した上でどちらを選択さ れますか、と最終的には飼い主様に選んで決めていただきます。 J:インタビューの間もミミーちゃんに同席してもらったのですが、13歳には見えないですよね。その上がんを患っていたと は思えないほど毛つやもいいです。大島さまの腕の中でよく動いていますし、元気ですね。 大島そうですか。そういわれてみれば年齢の割に若く見えるのかもしれません。もしかしたらリンパ球の効果もあるのかもし れないですね。 J:最後にご家族のがんでお困りの飼い主様に一言お願いできますか? 大島永遠の命ではないので、私にとってこの子と少しでも一緒に生きている時間が何よりも重要ですね。何か自分が少し我慢 することでできることがあるのなら、この子のために少しでも治療を続けてあげたい。と思っています。費用の面などで、何 とかなる方には、免疫細胞治療をお勧めしたい。と思いますね。 J:13年間付き添われてきて、がんという大きな病気をミミーちゃんと一緒に闘ってきた大島様。 愛情を沢山ミミーちゃんに注がれていると感じました。 ミミーちゃん、これからも長生きしてくださいね。ありがとうございました。 やぐら動物病院 〒648-0096 和歌山県橋本市御幸辻184-4 http://www.yagura-ah.com/

 

<インタビュー日:2015年10月20日>

コメントを残す