猫関節炎治療の新たな可能性
【脂肪由来間葉系幹細胞を用いて、変形性関節症猫のQOLを改善する報告が発表されました!!】
Evaluation of the quality of life-enhancing effect of allogeneic feline adipose mesenchymal stem cells in cats with osteoarthritis: A pilot study.
Mitani K, Ito Y, Takene Y, Inaba T.
Research in Veterinary Science 182:105470 (2025)
猫の変形性関節症
- 高齢猫の約9割が罹患する進行性変性疾患
- 加齢による軟骨変性、肥満による関節への負担、外傷性の関節不安定、遺伝的な骨軟骨形成異常などが発生要因
- 関節の痛み、高所へ登れない、食欲の低下などの症状
これまでの治療における課題点
飼い主様へ満足度の高い治療を提供できるのは稀です
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- NSAIDsによる副作用
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- サプリメントの投与方法
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- 減量による効果
脂肪組織由来間葉系幹細胞(ADSC)
犬変形性関節症に対するADSC療法
- Harman R et al. Front Vet Sci 3:81, 2016
- Éva Kriston Pál et al. Can J Vet Res 81:73-78, 2017
- Kiran Shah et al. Stem Cells 2018:7309201, 2018
猫変形性関節症に対するADSC療法
猫での使用、静脈内投与での効果についてエビデンスは見当たりません。
ネコ変形性関節症に対するADSC療法の概要
- 同種由来ADSC(Passage 0 or 1)
- 変形性関節症と診断された6頭のネコに対して0.5~1×10⁶ cells/kgのADSCを30mlの生理食塩水で懸濁しIV単回投与
FMPI(FELINE MUSCULOSKELETAL PAIN INDEX )
治療の流れと評価項目
ADSC投与前後における有効性評価
全頭においてFMPI値が増加し、臨床徴候の改善が認められました
ADSC投与前後における膝関節のレントゲン変化
ADSC投与前後における異常所見の評価
- 臨床的に異常なバイタル変化は認められませんでした。
- 投与後6か月で、投与に関する有害事象の発生は認められませんでした。
まとめ
- ADSC療法により、猫変形性関節症に対するQOL向上に寄与すると考えられ、さらに、病変進行を抑制している可能性が示唆されました。
- 長期の有効性データを取得することで、猫変形性関節症に対する新たな治療の選択肢になります。
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